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体験格差と、手を握り返すロボット。アイデア楽工・山上コウチョウと話したこと

共通言語が、多すぎた

昨日、鈴鹿で子どもアイデア楽工の理事長・山上敏樹さん(通称コウチョウ)とお会いして、いろいろと意見交換しました。

結論から言うと、共通言語が多すぎました。体験格差の問題、原体験の大切さ、失敗を前提に挑戦すること——大事にしている軸がことごとく重なっていました。


遊園地を30年つくった人が、子どもの学びの場をつくっている

コウチョウは1958年京都生まれ。武蔵野美術大学で空間演出デザインを学び、Honda関連企業で30年間、遊園地の企画に携わってきた方です。趣味のバードカービング(鳥の精密彫刻)では、全日本バードカービングコンクールの上級クラスで1位を受賞しています。2013年に早期退職し、NPO法人子どもアイデア楽工を立ち上げました。

桑名の廃校(旧多度西小学校)を拠点にしていた時期を経て、今は鈴鹿ハンターショッピングセンターの中にキャンパスを構えています。昨日お会いしたのも、その鈴鹿キャンパスでした。

理念は「遊びながら学ぶ」。記憶型の学習に限界を感じ、子どもの想像力と創造力を引き出すことを軸に据えています。ゲームや動画のような受け身の体験ばかりが増えるなかで、自分の手と頭を動かす能動体験をどう取り戻すか。コウチョウの問題意識はそこにあります。

印象的だったのは、アイデア楽工が失敗を前提にしている点です。何度も挑戦する、試行錯誤する、決められたものを正解どおりに作ることをゴールにしない。私がプログラミング教育や探究学習で大事にしていることと、同じ方向を向いていました。

子どもアイデア楽工 鈴鹿キャンパスの展示。手作りのロボットや工作が並ぶ


「仕事をすることで愛されるロボット」ましろちゃん

一番心を動かされたのは、ロボットの話でした。

コウチョウの息子さん・山上絋世さん(株式会社エデュテインメント ロボティクス事業部長)はロボットエンジニアで、元々は高性能なロボットを開発していたそうです。でもあるとき、自分が向かいたいのはそっちではないと感じた。仕事をすることで愛されるようなロボットを作りたい——そう考えて生まれたのが、手を握ると握り返してくれるアンドロイド「ましろちゃん」です。

リアルな人間に寄せすぎると不気味の谷が生まれる。だからあえてそこを避けて、アニメから出てきたような姿にしている。そしてこのましろちゃんが、チラシを配ったり料理を配膳したりする。整備士である開発者がいなくなっても、自分の整備費を自分で稼ぐ。そんな未来を目標にしているそうです。

産業用ロボットは、すでに高性能なものが数多くあります。愛されるロボットも、動物型などで実現しています。その間にある「仕事をすることで愛される」というジャンルで開発を進めている。この立ち位置が、すごくいいと感じました。

実際に握ったましろちゃんの手が、握り返してくれました。それがとてもうれしかった。何か大切なことが、ここにある気がしています。

ましろちゃんと、子どもアイデア楽工のコウチョウ(中央)と僕(右)


中途半端な地方で、原体験が失われている

コウチョウとは、子どもたちの体験格差についても話しました。

アウトドアで活動する機会が、明らかに減っています。やっかいなのは、中途半端な地方です。海も山も川もある。中途半端に自然が残っているから、行ったことは「ある」。でも近くでBBQをしただけで、そこにいる生き物や地形に触れてはいない。本質を体験していないのに、体験した気になっている。

原因のひとつは、親世代にあるかもしれません。親自身がその体験をしていないから、体験のさせ方がわからない。何が危険かを伝えられない世代が、一定数います。

「海は危険」「山は危険」「川は危険」。それだけでは足りません。どこが、どんなときに、どうなれば危険なのか。そこまで伝えることが大事だと考えています。危険な場所に行かなければ、危険の本質はわからない。

危険な場所に行け、と言っているわけではありません。ただ、そういう活動をしないことが、人生の指針になるような貴重な原体験の機会を奪っている。コウチョウとは、その認識が一致しました。


同じ問いを、別の場所で持っている人がいた

プログラミングとロボット開発、私とは違う入り口から、コウチョウは同じ問いにたどり着いていました。

体験をどう設計するか。失敗をどう許すか。子どもの内側にある力をどう引き出すか。場所もアプローチも違うのに、向かう先が重なっている人と話せたのは、大きな収穫でした。

最後にひとつ。実は私も、プロクラ鈴鹿校では子どもたちに「こーちょー」と呼ばれています。「こーちょー絶好調」をコンセプトにしているからです。向かう問いだけでなく、呼び名まで重なっていた。ただの偶然では片付けたくない出会いでした。

この対話で受け取ったものを、自分の活動にどう落とし込むか。これから考えていきます。

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