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「近自然工法」で登山道を守る——北杜山守隊ワークショップ参加レポート

山梨県北杜市にある日向山で、北杜山守隊が主催する登山道保全ワークショップに参加してきました。

「近自然工法」という言葉を聞いたことがありますか?外から資材を持ち込まず、現地の倒木や石を使い、山の生態系に溶け込んだ方法で道を修繕する技術です。知識として知っているのと、実際に手を動かして学ぶのでは、まったく違いました。

午前:インタープリテーション(視点観察)

午前中はインタープリターと一緒に山を歩きながら、道の現状と問題の背景を学びます。山頂を目指すのではなく、修繕が必要な場所まで、解説を聞きながら移動する形です。

印象的だったのは、参加者が実際に地面の硬さを比べる場面。人が踏み固めた場所と、誰も歩いていない場所では、土の硬さが全然違います。硬くなった地面には水が染み込まず、雨が降るたびに表面を流れ、土砂を削り続けます。「山の保水力が失われるということは、下流の水環境にも影響する」という話は、改めて考えさせられました。

この日向山はユネスコエコパークにも指定されており、「未来へつなぐみんなの山」という理念のもと、2030年に向けた保全目標が設定されています。かつての炭焼きの痕跡など、山の歴史も交えた解説で、道を整備することの意味が腑に落ちました。

午後:実際に手を動かす整備作業

昼食後、13時頃から実際の作業がスタートします。

階段(ステップ)の設置

現場周辺の倒木や石を使って階段を作ります。ポイントは「自然に見せること」。丸太を深く埋め込んで、まるで昔からそこにある根っこのように仕上げます。仕上げに泥を塗り、落ち葉をかけて「汚す」。この一手間が、人工物の違和感をなくすために大切だと教わりました。

水の流れを制御する

雨水が一直線に流れると、勢いで土砂を削ってしまいます。そこで、わざと水の流れをジグザグにしたり、段差を作って勢いを殺したりします。さらに「グリグリ」という道具で地面に穴を開け、水が表面を流れるのではなく地中に染み込むよう促します。

土中環境の改善

踏み固められてカチカチになった地面を掘り起こし、落ち葉を混ぜてスポンジのような柔らかさを取り戻させます。地中に空気と水の通り道ができると菌糸が活性化し、植物の根を呼び込み、最終的に根が地面をしっかり保持するようになる——という生態系の循環を引き出す作業です。

土砂の再利用

下に流れてたまった砂や腐葉土をすくい上げ、削れた場所へ戻して踏み固めます。山を削るのではなく、流れたものを元に戻す。この考え方がシンプルで印象的でした。

「直した感」を出さないのが技術

近自然工法の仕上がりを見てほしいと思い、作業前後の写真を並べてみます。

BEFORE

整備前の登山道

AFTER

整備後の登山道

「いかにも作った感」がない。これが近自然工法の目指すところです。

山にお返しをする

16時頃に下山し、振り返りをして終了。

参加者は初心者から、他地域でトレイル整備に関わっている人、将来的に山小屋運営を目指している人まで様々でした。みんなに共通していたのは、「山から恩恵を受けているだけでなく、山にお返しをしたい」という気持ちだったと思います。

山を歩くことが好きな人に、こういう活動があることを知ってほしいと思いました。


北杜山守隊の活動はInstagramやホームページで紹介されています。興味のある方はぜひ。

北杜山守隊 公式サイト

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